JIA 25年賞・JIA 25年建築

第20回JIA25年賞 総評

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 2020年は昭和・平成の建築物の保存についていくつか目立った動きがあった年だ。移転計画により危機にさらされていた宮城県美術館は、建築家たちによる保存運動と市民的支持の広がりが相まって、現状存続を県が決定するに至った。新棟PFI事業化により危機にさらされている葛西臨海水族園は、JIAからの保存再生の陳情書が東京都議会により採択されて執行部局にまわされたが、状況は依然予断を許さない。
 2020年は平成でいうと33年目でしかないのに、その時期の前後に建てられた建築物が既に解体の危機にさらされているのである。25年が長期かどうか意見の分かれるところであるが、「JIA25年建築選」と「JIA25年賞」は、長期にわたり所有者や利用者に愛され、建築家・施工者・管理者の良好な関係の下に管理運営され、将来にわたっても確実に維持されそうな優れた建築に与えられることになっている。
 すなわち、建築家の世界で評価の高い名建築であるだけでなく、長期にわたる市民の理解や社会的支持の広がりがあってこそ、はじめて成り立つものだと考えられる。
 「JIA25年建築選」は応募作品を、その所在地のJIA支部で審査し、登録するものであり、その段階で既に評価を得ているものである。「JIA25年賞」はそれらの中から、さらに現地審査を経て様々な観点から絞り込んだ数作品に授賞することになっている。
 そんな中、2020年度の「JIA25年賞」に選ばれたのは4作品。まず、ともにバブル崩壊後の90年代半ばに建てられた磯崎新設計の奈義町現代美術館と高﨑正治設計の輝北天球館。これらはいずれも当時注目を集めた公共の文化施設であるが、厳しい予算の中で良好な状態を維持する困難さを、竣工当初から変わることなく管理者の熱意とユーザーの愛情で乗り越えてきた好例である。
 国建・エーアールジー設計の沖縄公文書館と、築後60年の佐藤総合計画の防府市公会堂は、いずれもコンクリート建築のゆるぎない質の高さと管理の良さを伝えるものである。前者は特に風土性との関係で、後者は特に長寿命性との関係で、それぞれコンクリートの力を伝えている。
 なお、すでに道庁内で解体が決定している「北海道100年記念塔」が北海道支部から25年建築としての登録希望が上がってきたが、建築主に応募意思がないため、対象外とせざるをえなかった。今後への問題提起と受け止めている。
 JIAが25年賞の授賞事業を行っていることが、昭和・平成の優れた建築の保存再生への社会的支持につながっていくことを願う。

六鹿 正治